初恋の人からさえちゃんへお手紙が届きました。
さえちゃん、元気?
もう彼氏にメガネをかけさせる衝動は治まりましたか?メガネをしてなきゃ男じゃないと言っていたさえちゃんをなつかしく思います。
おれのことが面倒くさかったのか、話し合いもせずさえちゃんが一方的に連絡を断ったあのころから、もう19年が経ったんだね。月日が流れるのは早いものです。
この手紙を書いたのは、特に用事や理由があるわけではないんだ。ただ昨日友達と会ってさえちゃんの話題が出たから、ひさびさに思ったままでも何か書いてみようと思って。びっくりさせたかな。
今あのころの付き合いをあらためて考えてみると、ひどい恋愛をしていたなぁと思います。基本的にモテたし人気者だったさえちゃんに対し、おれは地味で日陰の存在だったから、いつもジトジトして迷惑をかけていましたね。おれに「堂々としてよ。いいところもたくさんあるんだから」と勇気付けながら、だんだんと距離を置いていったさえちゃんが今でも忘れられません。
そういえば、おれはともかく、さえちゃんにとっては初恋でしたね。最初のころのさえちゃんは、手をつないだときに手汗をびっしょりかいていたと思います。あれはなんだか、こっちも緊張しました(笑)。
さえちゃんは付き合った当初のテンションがやけに高くて、「私、一生このまま大好きなんだろうな」って言っていたような。おれは「さすがにそれはないだろ」と思って冷静に聞いていたけど、ノリの悪いおれに怒っていましたね。やはり最終的にはさえちゃんのテンションがガタ落ちしていたけど・・・。
恋愛を総合的に考えれば、おれはさえちゃんと付き合えたことを、とても感謝しています。キツイことを言われたときに耐える方法や、言い返したい気持ちを無理矢理封じ込める方法をこの恋愛から学びました。どうもありがとう。
いろいろ書いたけど、おれはさえちゃんが大好きでした。これからもさえちゃんらしさを大切に、あと、そろそろドリンクバーで吐くほど飲むのはやめて(笑)、いつか幸せになってください。
またいつか会いましょう。では。
P.S. うちに黒魔術の本を忘れていったよね?そのまま持っているので返します。
えーっとぉ・・・あちこち痛いです(笑) それにしても、黒魔術の本って・・・。